硬筆やペン習字を教えておりますと、正しいペン(鉛筆)の持ち方をしている人の少なさに驚きます。
勿論、どんな持ち方をしていようと、綺麗に書ければそれで良いのですが、やっぱり正しい持ち方をしますと、楽に濃く伸びやかな線が書けます。
正しい持ち方で特に強調したいところは"楽"というところですね!
なぜ正しい持ち方が楽なのか、という事を私なりの考えで述べてみたいと思います。
まずは正しい持ち方から。
親指と人差し指で輪を作るように構えます。
掌の中に卓球のボールが入るぐらい空間を作ります。
鉛筆は垂直ではなく、かなり斜めに構えます。
だいたい45~60°ぐらいでしょうか?
簡単ですね!
続いてよく見かける悪い例について考えみます。
悪い持ち方(すぐに疲れる、指が痛くなる持ち方)をしている人に話しを伺うと、ほとんどの人は、
「正しい持ち方は、ペンがしっかり固定できないし、安定しない」
と主張します。
そんなにしっかり固定する必要もないはずなんですが……。( ̄_ ̄lll)
必要な力は鉛筆を紙に押し付ける力だけなのですが、鉛筆を固定する力が必要以上に強過ぎて、痛くなったりタコが出来たりする方が多い様に思われます。
何故なんでしょう……?
――という訳で、色々と理由を探っていたのですが、ふとある事に気が付きました。
それは鉛筆の持ち方が変な方のほとんどは、"鉛筆がかなり垂直に近い感じで立っている"という事です。
例えばこんな感じです。
筆で書く時はしっかりと垂直に近い感じで書くのが普通ですが、鉛筆は上で書きました通り、かなり斜めにして書くのが正しい持ち方です。
筆は鋒先が柔らかいのでしっかり固定して持つ必要がありませんが、鉛筆で濃く書こうと思ったら、垂直だと確かにしっかり固定する必要が出てきます。
図解するとこんな感じです。
鉛筆を垂直に持った場合、『鉛筆を固定する力』とは全く別の方向に『鉛筆を紙面に押し付ける力』が必要になります。
濃く書こうと思ったら、『紙面に鉛筆を押し付ける力』を強くする必要があります。
その力に負けないようにしっかり鉛筆を固定しないといけないので、『鉛筆を固定する力』を更に上乗せしないといけません。
だからこそガチガチに鉛筆を固める持ち方になってしまうんですね!
正しい持ち方になると力の関係はこんな感じになります。
図で見ると分かり易いかと思うのですが、人差し指の『鉛筆を固定する力』と『鉛筆を紙面に押し付ける力』の方向はほぼ同じ方向になっていますね。
つまり斜めだと『鉛筆を固定する力』がそのまま『鉛筆を紙面に押し付ける力』になる、という事です。
写真にするとこんな感じです。
正しい持ち方に慣れると、楽に濃く長時間書き続ける事が可能になります。
鉛筆よりも力のいらないペンだと、更に作業時間は伸びますね!
是非、正しい持ち方で、無駄なく効率的な作業をしてみてください。